慢性疼痛と海馬の関連を詳細解析
The hippocampal extracellular matrix regulates pain and memory after injury
背景
慢性疼痛と海馬の関連が注目されているが、詳細は明らかでない。Stanford UniversityのMaral Tajerianらは、脛骨骨折後7週のマウスを用いて、慢性疼痛とそれによる記憶障害と海馬の細胞レベル変化の関連を検討した。
結論
慢性疼痛モデルマウスにおいて、場所関連ワーキングメモリー欠損が以下と関連することが見いだされた:樹状突起の複雑性減少;細胞外マトリクス(ECM)の微小構造変化;ECMの硬直性;ECM主要構成要素および酵素のレベル変化(特にMMP8発現増)。また、LTP異常も示された。受傷後にMMP8発現が増加することが見いだされた。遺伝子改変によるMMP8発現低下により、行動・電気生理およびECM変化が正常化された。
評価
慢性疼痛と海馬の関連を、ニューロンとニューロン環境のレベルで解析し、ECMの主要成分MMP8がこの病態と関連する可能性を初めて示した。海馬およびMMP8は、慢性疼痛治療の新しい治療標的候補となりえる。