ストレスの自己免疫疾患リスクを確定
Association of Stress-Related Disorders With Subsequent Autoimmune Disease
背景
ストレスが免疫機能を抑制することが示されているが、自己免疫疾患発生のリスクとなることは確実なのか。アイスランドUniversity of IcelandのSongらは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などのストレス関連疾患を抱えるスウェーデン人患者を対象に、ストレス関連疾患と後の41の自己免疫疾患発症の関連を検討する後向コホート研究を行った(ストレス群 n=106,464;非ストレスコホート群 n=1,064,640、兄弟コホート群 n= 126,652)。
結論
平均10年の追跡期間中、自己免疫疾患の罹患率はストレス群・非ストレスコホート群・兄弟コホート群で各1000人年あたり9.1・6.0・6.5であった。非ストレス群と比較して、ストレス関連疾患を抱える患者では自己免疫疾患のリスクが高く(HR:1.36)、PTSD患者におけるHRは何らかの自己免疫疾患で1.46、複数(≧3)の自己免疫疾患で2.29であった。これらの関連は、兄弟コホートとの比較でも認められた。相対危険度の上昇は、より若い患者で顕著であった。PTSD診断後1年におけるSSRIの持続使用は、自己免疫疾患の相対危険度の低下と関連していた。
評価
半ば常識化している関連で、古典的な報告もあるが(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3318917/)、最大の後向コホート研究によりほぼ確定した。患者レベルでの因果機構の解明と予防的介入の可能性が課題となったが、SSRIの効果は示唆的である。