デングワクチンDengvaxia事件の原因は(おそらく)ADE
Effect of Dengue Serostatus on Dengue Vaccine Safety and Efficacy
背景
Sanofi Pasteurの4価デングワクチン(CYD-TDV)の第III相試験(CYD14)では2〜5歳児で入院が増え、またリアルワールドでも同ワクチンはフィリピン・ブラジルで死亡事件等大きな混乱をもたらした。同社のSridharらは、3つのCYD-TDV有効性試験のデータを再解析するケースコホート研究をおこなった(対象者:2〜16歳)。一次エンドポイントは、5年間の症候性デング熱による入院である。
結論
同ワクチンは、デングウィルス曝露あり(血清陽性)の接種者で一次エンドポイント有効(HR:0.32) であった一方、曝露なし(血清陰性)の接種者では一次エンドポイント高リスクであった(HR:1.75)。
評価
フィリピンでは訴訟を含む巨大な社会問題に発展したが、ADE(antibody-dependent enhancement)の典型例だったことは確実となってきた。NEJM Perspectiveは、このようなワクチン問題を自動運転車のリスクと比較する興味深い議論を提示し、WHOの「ワクチン接種前スクリーニング」の推奨を支持している(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1804094)。