軽症喘息患者にはICS・LABA合剤の頓用?
Inhaled Combined Budesonide-Formoterol as Needed in Mild Asthma
背景
軽症喘息患者に対しては、できれば抗喘息薬を連用せず発作時の吸入だけで済ませられることが望ましい。カナダMcMaster UniversityのO’ByrneらSYGMA1は、吸入ステロ(ICS)-長時間作用性β2刺激薬(LABA)固定用量(Budesonide-Formoterol: BF)薬の発作時のみ使用の有益性を検証する第III相試験を行った。患者は、連日プラセボ+テルブタリン頓用(テルブタリン群)・連日プラセボ+BF頓用(BF群)・連日ブデソニド+テルブタリン頓用(ブデソニド群)に割り付けた(n=3,849)。一次オブジェクティブは、喘息コントロール良好期間に関して、これら3群を比較することである。
結論
BF群はテルブタリン群よりコントロール良好だったが(OR:1.14)、ブデソニド群に対しては劣性であった(OR:0.64)。重症増悪の年間発生率は、テルブタリン群で0.20、ブデソニド・ホルモテロール群で0.07、ブデソニド維持療法群で0.09であり、BF群はテルブタリン群・ブデソニド群より低かった。BF群における ステロイド使用量中央値は、ブデソニド群の17%であった。
評価
NEJMはSIGMA2結果(BF頓用が連日ブデソニド+テルブタリン頓用に非劣性)も併載している(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1715275)。喘息治療では発作コントロールとステロイド副作用のトレードオフがあるが、軽症患者では前者を選好するという戦略に適合する新薬である。