βサラセミアへの遺伝子治療は有望
Gene Therapy in Patients with Transfusion-Dependent β-Thalassemia
背景
βサラセミアに対する遺伝子治療が視野に入った。Ann and Robert H. Lurie Children’s Hospital of ChicagoのThompsonら(HGB-205)は、22名の輸血依存性βサラセミア患者を対象として行われた、第I/II相試験の結果を発表している。患者のCD34+細胞に体外でLentiGlobin BB305ベクター(T87Q アミノ酸置換したHbAT87Qをコード)による遺伝子導入を行い、再注入した。有効性評価は、総ヘモグロビン濃度・HbAT87Q濃度・輸血必要性・ベクターコピー数の平均等によった。
結論
遺伝子改変細胞注入後中央値26ヶ月で、非β0/b0遺伝子型患者13名中12名が赤血球輸血不要であった(HbAT87Q濃度:3.4~10.0g/dL、総ヘモグロビン濃度:8.2~13.7g/dL)。β0/β0遺伝子型またはIVS1-110変異2コピー保有者の9名では年間輸血量中央値が73%減少し、3名では赤血球輸血が不要であった。治療関連有害事象はASCT関連有害事象と同等で、ベクター導入に関連するクローナルドミナンスは認められなかった。
評価
遺伝子治療の成功が続くが、サラセミアは希少疾患でなくメジャー疾患であり、成功すれば高インパクトである。第III相はもとより、鎌状赤血球症への応用も進行中である。ただし、値段は現在一回$425Kである、という。