小児喘息「yellow zone」での吸入ステロイド増量にエビデンスなし
Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations
背景
小児喘息が増悪すると医師は吸入ステロイドを増量する場合が多いが、この実践にエビデンスはあるか。University of WisconsinのJacksonら(STICS)は、5〜11歳の小児254名を対象として、この問題を検討するRCTを行った。対照群では低用量吸入ステロイド維持療法を48週間行った後同量を継続し(低用量群)、介入群ではコントロール悪化徴候を認めた(「黄色信号」の)場合に5倍量吸入を7日間行った(高用量群)。一次アウトカムは重度喘息増悪発生率である。
結論
一次アウトカムに群間差はなく、他のアウトカムでも群間有意差は認められなかった。ステロイド総曝露量は高用量群が低用量群より16%多かった。
評価
通常の実践を「エビデンスなし」とする衝撃的な結果であり、著者らは更にステロイド高曝露による副作用も示唆している。「黄信号(yellow zone)」への対処は振り出しに戻る。