慢性肝疾患に対する防御バリアントを同定
A Protein-Truncating HSD17B13 Variant and Protection from Chronic Liver Disease
背景
慢性肝疾患に関連する遺伝子変異がいくつか報告されており、臨床応用が待たれている。Regeneron Genetics CenterのAbul-Husnらは、DiscovEHR 研究参加者46,544名のエクソーム解析データと電子診療記録をリンクさせて血清ALT・AST値と関連するバリアントを探索し、追加3コホートで確認されたバリアントに関し更に臨床診断・病理組織診断を関連させて、慢性肝疾患高関連度バリアントの同定を行った。
結論
Hydroxysteroid 17-beta dehydrogenase 13(HSD17B13) のスプライスバリアント(rs72613567:TA)が、ALT低下(P=4.2×10-12)・AST低下(P=6.2×10-10)と関連した。DiscovEHR研究参加者では、このバリアントはアルコール性肝障害のリスク低下(ヘテロで42%、ホモで53%)、非アルコール性肝障害のリスク低下(同17%、30%)、アルコール性肝硬変のリスク低下(同42%、73%)、非アルコール性肝硬変のリスク低下(同26%、49%)と関連した。この関連は独立2コホートでも確認された。同バリアントは、病理組織学的には非アルコール性脂肪性肝炎のリスク低下とのみ関連し、また慢性冠疾患高リスクのPNPLA3 p.I148Mアレルに関連する肝損傷を軽減した。
評価
慢性冠疾患関連遺伝子変異としてPNPLA3のものが知られていたが、新しい疾患抑制性スプライスバリアントを同定した。企業研究であり、すでにRNAiによる同変異の効果模倣が試みられているようである。