治療抵抗性うつ病にesketamineを経鼻で
Efficacy and Safety of Intranasal Esketamine Adjunctive to Oral Antidepressant Therapy in Treatment-Resistant Depression: A Randomized Clinical Trial
背景
治療抵抗性うつ病(TRD)に対しケタミンが有効であるといわれているが、静脈内投与されなければならず、外来診療の場には向かないという欠点がある。Janssen Research & DevelopmentのDalyらは、TRD患者を対象に、経鼻吸収製剤として開発中のesketamineの安全性・有効性・用量反応性をMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)の変化(ベースラインから8日目)を用いて検証する第II相DBRCTを行った(プラセボ:n=33、esketamine 28mg:n=11、56mg:n=11、84mg:n=12)。
結論
MADRS合計スコアの変化は、プラセボと比較してすべてのesketamine群でより優れており(esketamine 84mg:-9.0、P<.001)、有意な用量反応関係が認められた。また、非盲検相で投与頻度が減少しても、うつ症状の改善は持続した。二重盲検相でesketamine治療群で5%、非盲検相で2%の試験中断となる有害事象が認められた(失神・頭痛・解離性症候群・子宮外妊娠)。
評価
TRDに対する経鼻esketamineの初の臨床研究である。抗うつ効果に即効性があり、また用量反応性が認められ、投与頻度が減少しても効果が2ヶ月以上持続することが明らかになった。経鼻esketamineは現在TRD、切迫した自殺リスクの高い大うつ病に対し第III相試験が行われている。