膝前十字靱帯損傷への手術・理学療法アプローチをCOMPARE
Early surgical reconstruction versus rehabilitation with elective delayed reconstruction for patients with anterior cruciate ligament rupture: COMPARE randomised controlled trial
背景
膝前十字靱帯(ACL)損傷には早期手術か理学療法か。オランダErasmus MC UniversityのReijmanら(COMPARE)は、同患者167名を対象としてこれを検証するRCTを行なった。患者を、早期ACL再建術群と3ヶ月後にACL再建術が選択可能である理学療法群に割り付けた。一次アウトカムは、3・6・9・12・24ヶ月でのInternational Knee Documentation Committeeスコアによる患者の症状・膝機能・競技復帰能力の主観的評価である。
結論
3ヶ月では理学療法群、9ヶ月では早期ACL群が一次アウトカム優位だったが、12ヶ月で群間差は無くなり、24ヶ月では早期ACL群が有意にアウトカムスコアが高かった(群間差5.3)。理学療法群の50%は後に再建術を選択した。
評価
著者らの結論は、「統計的有意だが臨床的意義は不明」というものである。すでに複数の先行RCTがあるが、劇的な差は報告されていない(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20660401/)。この試験は、理学療法群の半数は手術を必要としなかったと考えるか、半数も手術が必要となったと考えるかで評価が違ってくる。