骨粗鬆症性骨折予防のためのビスフォスフォネートのリスクベネフィット
Atypical Femur Fracture Risk versus Fragility Fracture Prevention with Bisphosphonates
背景
ビスフォスフォネート(BP)には非定型大腿骨骨折のリスク増が伴うが、骨粗鬆症性骨折予防ベネフィットとの兼ね合いは。University of CaliforniaのBlackらは、Kaiser Permanente Southern California health care system登録BP使用女性患者196,129名(50歳以上)を対象として、非定型大腿骨骨折発生とBP投薬の関連を検討するコホート研究を行なった。一次アウトカムはレントゲン検査による非定型大腿骨骨折診断である。
結論
全277例の非定型大腿骨骨折が発生した。多変量調整後、非定型大腿骨骨折リスク増は長期間BP投薬と関連した(3ヶ月以下投薬と比較したHRは3〜5年が8.86、8年以上が43.51)。人種(アジア人 vs. 白人 HR:4.84)・身長・体重・糖質コルチコイド使用などのリスク要因も関連し、BP休薬は急速な非定型大腿骨骨折リスク低下と関連した。1〜10年のBP投薬による骨粗鬆症性骨折、股関節骨折リスクの低下は白人では非定型大腿骨骨折リスク増加よりも大きかったが、アジア人ではそうでなかった(3年後、白人149例の股関節骨折予防、2例のBP関連非定型大腿骨骨折が発生[アジア人では前者が91例、後者が8例])。
評価
実臨床的な問題に、大規模調査で「リスクを考慮しても骨粗鬆症性骨折予防のべネフィットがはるかに高い」「休薬は有効」という分かりやすい回答を出した。ただしアジア人では「はるかに」は高くないともしており、日本では独立検証が必要であろう。


