骨折予防のためのカルシウムサプリは有害無益?
Genetic predisposition to increased serum calcium, bone mineral density, and fracture risk in individuals with normal calcium levels: mendelian randomisation study
背景
カルシウムサプリメントが高齢者の骨折予防に広く用いられているが、遺伝素因による血清カルシウム(Ca)高値は骨折リスクを減らすのか。カナダMcGill UniversityのRichardsらは、UKBiobank、英・米・欧州・中国25コホート、欧州17コホートのデータに基づき、血清Ca値の遺伝的決定因子と骨密度(n=426,824)、骨折リスク(n=76,549例、コントロール470,164例)の関連を検討するメンデルランダム化研究を行なった。
結論
遺伝的素因による生涯血清Caレベルの1SD高値は、骨密度増加とも骨折リスク低下とも関連がなかった。
評価
骨折予防のためのカルシウムサプリは論争的な主題だが、UKBiobankのビッグデータを利用した面白い方法論でその無益を示唆した。著者らは、遺伝的素因による血中Ca高値者に冠動脈石灰化リスクが高いことを示しており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28742912)、「有害」という可能性さえある、としている。