「不活発だと認知症になりやすい」わけではない?
Physical inactivity, cardiometabolic disease, and risk of dementia: an individual-participant meta-analysis
背景
不活発(身体不活動)が認知症発生のリスク要因かどうかは確定していない。フィンランドUniversity of HelsinkiのKivimakiらは、欧米人を対象とした19の前向観察コホート研究の個人レベルデータ(n=404,840)のメタアナリシスを行った。一次アウトカムは、全原因およびアルツハイマー型(AD)認知症の発生である。
結論
認知症診断10年以内における身体不活動は全原因認知症(HR:1.40)・AD(HR:1.36)発生と有意に関連したが、認知症診断10年以上前の身体不活動ではこの関連は有意でなかった。身体不活動性と糖尿病・冠性心疾患・脳卒中リスクとの間の関連は確認され、認知症発生より代謝循環性疾患発生が先行した場合の身体不活動性は、認知症発生と関連した。
評価
40万人のビッグデータに基づき、「認知症のために不活発になった」という可能性を排除するため2種の分析をした結果、「不活発なために認知症になる」とは考えにくい、としたものである。このような関連が起こるのは不活動で代謝循環性疾患になった場合である、ということを強く示唆した。観察研究の到達可能点を示す結果の一つであろう。