高身体活動は高齢者の認知能を護る:脳剖検研究
Physical activity, common brain pathologies, and cognition in community-dwelling older adults
背景
高齢者の身体活動(PA)は認知症患者の認知機能を改善すると考えられているが、そのメカニズムは。カナダUniversity of TorontoのBuchmanらは、Rush Memory and Aging Project(MAP)登録高齢死亡者454名(認知症患者42.1%、死亡平均年齢90.6歳)を対象として脳の死後解剖を行い、生前測定したPA量・運動能力・認知機能との関連を検討する横断コホート研究を行った。
結論
高PA量・高運動能力 は独立して良好な認知機能と関連し、これらの関連はADその他認知症に関する脳病理所見を追加しても維持された。しかし他方、AD等の脳病理所見と認知能との関連は、PAレベル・運動能力レベルに関わらず存在した。
評価
多数の高齢死亡者の脳病理所見と生前の活動データを関連させたユニークな研究で、身体活動の認知有益性が一定程度脳の病理的所見と独立している、という結論を導いた。著者らが認めているように、メカニズムは未だ不明である。