「運動の降圧効果は薬に劣らない?」系統レビューが重大仮説を生成
How does exercise treatment compare with antihypertensive medications? A network meta-analysis of 391 randomised controlled trials assessing exercise and medication effects on systolic blood pressure
背景
運動で血圧が下げられるとされるが、薬物療法と比べてエビデンスは堅固か。英London School of Economics and Political ScienceのNaciらは、血圧と運動介入に関する197研究(n=10,461)とACE阻害薬・ARB・β遮断薬・カルシウム拮抗薬・利尿薬等の降圧剤に関する194研究(n=29,281、いずれもRCT)を対象として、収縮期血圧(SBP)への薬物療法と運動療法の有効性を比較検討するランダム効果ネットワークメタ解析を行った。一次アウトカムは、治療間のベースラインSBPと治療後の変化の平均差である。
結論
運動介入と薬物療法を直接比較したRCTはなく、薬物療法に関する全研究が高血圧患者を含んでいるのに対し、運動介入で高血圧患者を含んでいるものは56研究(n=3,508)のみで、運動RCTの方がバイアスリスクが高かった。全集団統合分析では、運動介入と比べ薬物療法の方がベースラインSBPからの低下が大きかった。しかし、コントロールと比較した場合何れの介入でもSBPは低下した。高血圧集団では、持久もしくはレジスタンストレーニングのSBP低下効果は、ACE阻害薬・ARB・β遮断薬・利尿薬の効果に劣らなかった。
評価
薬と運動療法のSBP降圧効果を主題的に比較した初めての系統レビューである。「未だエビデンスが少ないが、薬に劣らないのではないか」という検証価値の非常に高い仮説を生成した。両者を直接比較する大規模RCTが期待される。