外傷性脳損傷・脊髄損傷 、初めてのグローバル疫学調査
Global, regional, and national burden of traumatic brain injury and spinal cord injury, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016
背景
予防可能性の高い外傷性脳損傷(TBI)・脊髄損傷(SCI)の最新グローバル疫学は。Institute for Health Metrics and EvaluationのJamesら(GBD 2016 Traumatic Brain Injury and Spinal Cord Injury Collaborators)は、GBD 2016データに基づいて1990〜2016年のTBI・SCIのグローバル罹患率・有病率・障害生存年数(YLD)を算出し、TBI・SCI発生原因を検討するためのデータ解析も行った。
結論
2016年の新規TBIは2700万例、SCIは93万例で、年齢調整罹患率は各369/100000・13/100000だった。また同年の有病例は各5500万例・2700万例だった。1990〜2016年でTBIの年齢調整有病率は8.4%、年齢調整罹患率は3.6%増加したが、SCIではともに有意な変化はなかった。2016年のTBIによるYLDは8.100万年、SCIによるYLDは9.500万年で、年齢調整率は各111/100000・130/100000だった。新規TBI/SCIの最多原因は転倒・交通事故だった。
評価
TBI罹患増加原因は都市化・高齢化・モータリゼーションに関連すると考えられ、またSCIの有病者の絶対数は人口増加傾向のある地域では増えるものとみられる。なお、日本はこれらのリスクの「中等度以下」地域に属している。