膝痛はOA悪化の指標
Knee pain as a predictor of structural progression over 4 years: data from the Osteoarthritis Initiative, a prospective cohort study
背景
膝痛は変形性膝関節症(膝OA)の患部損傷が原因で生じると共に、患部の状態を更に悪化させる要因でもあるとみられる。オーストラリアMonash UniversityのWangらは、Osteoarthritis Initiative参加者を対象として、X線的OA(ROA)患者2,249名(ROA: Kellgren-Lawrence grade >2)と非OA者2,120名(NROA: Kellgren-Lawrence grade ≦1)を比較する前向観察研究を行った。ベースライン・1年後の膝痛をWOMACスコアを用いて3段階評価し、1年目での膝痛と4年目での軟骨厚・ROA発症・悪化との関連を検討した。
結論
両群ともにベースラインWOMACスコアは内外側軟骨厚減少・ROA発生(OR:1.07)・ROA悪化(OR:1.07)と関連し、変動的・慢性的膝痛を有する患者は無痛患者と比べ軟骨厚の減少が大きかった。非ROA患者では変動的膝痛はROA発症リスク増と関連し、有害必要数(NNH)は19.5であった。ROA患者では、慢性的膝痛はROA悪化高リスクと関連し、NNHは9.6であった。
評価
重要だが不一致の多かったテーマだが(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14962960、 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16704746)、大規模データによって膝痛がOA病態悪化の予測因子であることを一定の信頼度で示した。疼痛を指標としたOA防止戦略を支持する。