ビッグデータで問う関節鏡視下半月板部分切除術の安全性
Adverse outcomes after arthroscopic partial meniscectomy: a study of 700 000 procedures in the national Hospital Episode Statistics database for England
背景
関節鏡視下半月板部分切除術(APM)は最もポピュラーな整形外科手術の一つだが、安全・有効性への疑問も提起されている。英Monash UniversityのWangらは、同国国民医療データ(HES)をもとに699,965件を分析した。一次アウトカムは、術後90日以内の心筋梗塞・脳卒中・肺塞栓症・要手術感染症・筋膜切開・神経血管損傷・死亡の最低一つである。
結論
一次アウトカムは20年間で2,218件発生していた(546[肺塞栓症]、944[要手術感染症])。リスク増との独立関連因子は、高齢(aOR: 1.247/10年)・修正チャールソン併存疾患指数(1.860/10 単位)であり、女性は低リスクと関連していた(0.640)。死亡リスクは経時的に低下した。対象コホートは一般集団より死亡・心筋梗塞・脳卒中の発生が少なかったが、感染・肺塞栓症リスクは一般集団よりも有意に高かった。
評価
検討症例は100万以上で、この問題に関するこれまで最大の検討である。著者らの結論は、「一般に低リスクだが肺塞栓など重大なものもありえる」ということになる。最近のJAMAではAPMには理学療法と同等程度の効果しかないとの研究が発表されており(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30285177)、英では年200万件にも達するというこの手法に対しては、費用効果が検討されることになろう。


