初のGWASが示す「骨折は遺伝子の病気」?
Assessment of the genetic and clinical determinants of fracture risk: genome wide association and mendelian randomisation study
背景
骨折にはゲノム的基礎があるのか。オランダErasmus MCのRivadeneiraらは、この問題を検討するGWASメタ解析と2サンプルメンデルランダム化分析を行った。対象者は、欧米・東アジア・オーストラリア等の18歳以上の25コホートである(骨折者 n=37,857、対照者 n=227,116)。
結論
15の骨折関連遺伝子座を認め、その全ては骨密度に関係していた。骨生物学関連 経路(SOST・WNT16・ESR1)・新規経路(FAM210A・GRB10・ETS2)等である。メンデルランダム化解析では、骨密度の骨折への明確な影響がみられた。遺伝子決定を受ける大腿骨頚部骨密度の1SD低下は、骨折リスク55%増と関連していた。握力は骨折リスクと逆相関したが、多変量調整後にはその有意性は失われた。またビタミンD値やカルシウム摂取量等臨床的リスク要因は骨折リスクと関連していなかった。
評価
骨折に関する初のGWASにより、骨折に関連するのが骨密度に関する遺伝子要因で、ビタミンDやカルシウムの摂取努力は無益である、という高インパクト結果を導いた。骨折の病因・病態から診断・治療・予防法の全体に再検討を迫る。