高齢者はたくさん歩くより早めに歩く方が死亡リスクが下がる
Self-rated walking pace and all-cause, cardiovascular disease and cancer mortality: individual participant pooled analysis of 50 225 walkers from 11 population British cohorts
背景
歩行速度が死亡リスクを低下させることが知られているが、身体活動量や強度とは独立しているのか。オースオラリアUniversity of SydneyのStamatakisらは、1994〜2008年の英・スコットランド11人口ベースサーベイデータと死亡記録をリンクさせた前向抽出分析により、歩行速度(遅い・平均・速い)と全原因死亡・癌原因死亡・心血管原因死亡のリスクとの関連を検討した(n=50,225)。
結論
遅い歩行速度と比べ、平均・速いペースの歩行はそれぞれ全原因死亡(20%・24%)・心血管原因死亡(24%・21%)のリスク低下と関連した。層別解析により、高強度の身体活動がなく、推奨身体活動を満たしていない50歳以上でもこれら関連は明確だった。性別・BMIとの相互作用はなく、癌原因死亡リスクとの関連もなかった。
評価
大規模サンプルを用いて先行諸研究を裏付け(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20579904)、この関連が身体活動の総量・強度と独立している、という不思議な現象を示唆した。