高齢者の延命には「軽い活動をコツコツ」で十分
Objectively measured physical activity, sedentary behaviour and all-cause mortality in older men: does volume of activity matter more than pattern of accumulation?
背景
運動は高齢者を延命させるが、最適な活動量・活動様式には定量研究の余地が多い。英University College LondonのJefferisらは、British Regional Heart Study登録高齢男性1,181名を対象として、この問題を検討する前向地域住民ベースコホート研究を行なった。ActiGraph GT3x活動量計で活動を実測し、座位活動・身体活動時間と全原因死亡との関連を定量解析した。
結論
時間30分増の死亡ハザード比は、座位行動1.17・低強度身体活動(LIPA)0.83 であったのに対し、中高強度身体活動(MVPA)時間10分増では0.90であった。交絡因子の相互調整後には、LIPAの効果だけが有意であった。MVPA 150分/Wの場合、短期運動を累積させるほうが連続10分以上の運動を累積させるより達成率が高く、死亡リスクにも有意差はなかった。座位時間を短くすることには死亡リスク低下効果はなかった。
評価
現行ガイドラインでは、連続10分以上・150分/W以上のMVPAを推奨しているが、犬の散歩や庭の水やり等散発LIPAでも十分有益であるとした。5年にわたる活動実測調査で、ガイドラインにインパクトを与える結果を示した研究である。LIPAのメリットの報告は多い(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26980183、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24735973)。