退院後高齢者の転倒予防研究をレビュー
Reducing falls in older adults recently discharged from hospital: a systematic review and meta-analysis
背景
退院後の高齢患者は少なくとも6ヶ月間転倒リスクが高く、その予防は重要課題である。オーストラリアCurtin UniversityのNaseriらは、このような患者の転倒予防策に関する16研究(n=3,290)のシステマティックレビュー・メタ解析を行った。
結論
家庭での運動介入が転倒数を有意に増加させ(OR:1.74)、転倒発生率(RR:1.27)・転倒による怪我発生率(RR:1.16)を低下させなかった一方、HHM介入(Home Hazard Modification:自宅内の危険箇所と安全策の教育、また住宅模型教材を用いた演習等の30分プログラム)は転倒数を有意に減少させ(RR:0.63)、また低栄養の高齢者への栄養補助(ビタミンD)も有意に転倒数を減少させた(HR:0.41)。しかし、いずれもエビデンスレベルは低かった。
評価
著者らは、研究によってデザインが大きく異なりデータの系統化は困難だったと述べており、未だ「これで防げる」という決め手はない。退院後高齢者は転倒への恐怖心で不活動となり、そのためにさらに身体の脆弱性が増す、という悪循環が生じる。転倒の恐怖への心理的介入も未踏の分野である。


