高齢者のサルコペニア発症は神経刺激に関連する?
Failure to expand the motor unit size to compensate for declining motor unit numbers distinguishes sarcopenic from non-sarcopenic older men
背景
サルコペニアに神経刺激がどう関係するかは重要な問題である。英Manchester Metropolitan UniversityのMcPheeらは、MRI・筋電図検査により、若年者(n=48)・非サルコペニア高齢者(n=13)・準サルコペニア高齢者(n=53)・サルコペニア高齢者(n=29)男性の運動単位を比較した。
結論
高齢者はサルコペニアの有無に関わらず、若年者より運動単位数が30〜50%少なかったが、運動単位における神経活動ポテンシャル(MUP)は、非サルコペニア群・準サルコペニア群では高かった。他方、高齢サルコペニア患者は、非サルコペニア高齢者と比べMUPが低下していた。この結果は、広範囲の運動単位リモデリングは加齢早期に始まり、筋量低下を促進してサルコペニアを悪化させることを示唆する。また除神経後の神経再生により、非サルコペニア・準サルコペニア高齢者は運動単位のサイズが拡大するが、サルコペニア高齢者はそうでなかった。
評価
運動による神経‐筋刺激で高齢化に伴う運動単位のリモデリングを防止できるという仮説と関連しており、小規模研究が存在したが、この検証の規模はかなり大きい。合併症がない男性のみに関する横断研究で交絡因子の調整もなく、更なる検証が正当化される。