先端シミュレーション研究が示す、老人の歩行能維持の秘訣
Predictive neuromechanical simulations indicate why walking performance declines with aging
背景
加齢によって歩行能力は低下するがその要因は多く、高齢主体を対象として実験的に特定することは困難である。Carnegie Mellon UniversityのSongらは、骨格・筋肉・神経系の神経‐機械的作動モデルを構築し、シミュレーション実験により加齢による歩行能力変化に対する諸要因の寄与を解析した。
結論
高齢者の歩行を再現しうるようなパラメータ複合を同定し、歩行能低下の主要因が筋力・筋量の低減によるエネルギー効率の低下であることを特定した。シミュレーションの中では加齢による歩行速度の低下が筋疲労への適応として自然発生することが観察され、これもまた筋肉関連要因によるものだった。
評価
高齢者の歩行能力が筋肉量と関連することが多くの実測研究で指摘されてきたが、シミュレーションを用いて解析的に再現したユニークな研究である。除外された因子は神経・関節・骨密度等であり、高齢者が歩行能力低下を防ぐには筋量・筋力をつけるしかない、という結論になる。


