FGR疑い胎児への医療介入は、成功しても児の長期予後はよくない
Association Between Iatrogenic Delivery for Suspected Fetal Growth Restriction and Childhood School Outcomes
背景
胎児発育不全(FGR)疑いへの医療介入は、出生児の小児期の発達・学業成績に影響するか。オーストラリアMonash UniversityのSelvaratnamらは、在胎32週以上で出生した705,937名(平均在胎週数39.1週;平均出生時体重3426g)を対象とする後向コホート研究でこの問題を検討した。一次アウトカムは、入学時の5つの発達検査のうち2つ以上が下10位パーセンタイルで、3・5・7年生での5つの学業成績のうち2つ以上が国の最低基準を下回っていることであった。
結論
FGR疑いで早期に医療介入による分娩を行った重度の在胎不当過小(SGA)児(出生体重児<3位パーセンタイル)は、FGR疑いのない重度SGA児に比して、出生が早く(平均在胎週数37.9週対39.4週)、入学時の発達転帰不良のリスクが増加した(aOR:1.36)。また、3・5・7年生時の学業成績不良のリスクも増加した。FGR疑いで医療介入による分娩をおこなった正常発達児は、FGR疑いのない出生児に比して出生が早かったが、発達転帰および学業成績に有意差はなかった。
評価
死産リスクと早産リスクを秤にかける困難な医療介入である。大規模調査が出したSGA児の場合だけ長期アウトカムが劣るという結論は首肯しうるものだが、介入の判断をより困難にする。