先天性横隔膜ヘルニアに対する胎児鏡下気管閉塞術は中等症では非推奨
Randomized Trial of Fetal Surgery for Moderate Left Diaphragmatic Hernia
背景
先天性横隔膜ヘルニア(congenital diaphragmatic hernia : CDH)に対する胎児外科手術である、胎児鏡下気管閉塞術(FETO)が出生後生存率を改善するという報告がある。ベルギーUniversity Hospitals KU LeuvenのDeprestら(TOTAL)は、 中等症の左側CDHに対するFETO(妊娠30~32週)の効果を検証するRCTを行った(n=196; 対照:待期的治療)。両群で出生後に標準治療を行った。一次アウトカムは、NICU生存退院および、生後6ヵ月での酸素投与なしの生存である。
結論
FETOの統計的有意な一次アウトカム効果を認めなかった(NICU生存退院::63% vs. 50%;生後6ヵ月での酸素投与なしの生存;54% vs. 44%)。対照群に比してFETO群で、早期破水および早産の発生率が高かった。
評価
胎児外科手術の標準化のためにはRCTが不可欠である。TOTALはこの方法論を確認する国際的な重要試験だったが、中等症では非推奨となった。同グループはNEJMに重症例を対象としたRCT論文を併載しており、そこではFETOの効果は統計的に有意であった(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027030)。「重症例では考えられる戦略」という結論だが、どちらの研究も未だ生後6か月までの短期転帰までしかフォローしていない。