米国の小児COVID-19:CHOPが5,374例を総括
Assessment of 135 794 Pediatric Patients Tested for Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 Across the United States
背景
小児は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に「強い」ことが知られ、その疫学が注目されている。Children’s Hospital of Philadelphia(CHOP)のBaileyらは、2020年1月1日〜9月8日にPCR検査を受けた25歳未満の患者データに基づく後向コホート研究を行った(n=135,794)。
結論
この年齢層の疑診患者に対するPCR検査は96%が陰性であった。陽性者5,374名中有症状は7%以下、感染者死亡率は0.2%で、死亡患者はすべて基礎疾患があった。陽性化リスク因子は、黒人・ヒスパニック・アジア人、貧困児、青年期・若年成人期、非呼吸性慢性疾患であった(悪性腫瘍でSR:1.54等)。
評価
小規模報告されてきた「こどものコロナ」に関する最大のデータで、疑診者でも感染者は極めて少ないこと、死亡率は高齢者に比べ非常に低いこと、死亡者は社会経済的・医療的弱者に偏ること、を再確認した。喘息など呼吸器系基礎疾患が死亡リスクを増さない、という興味深い結果も報告している。なお、一時騒がれたmultisystem inflammatory syndrome in children(小児多臓器炎症症候群、MIS-C)はこのコホートでは確認されておらず、川崎病症例は例年の40%程度減少していた、という。