非免疫性胎児水腫の出生前診断にエクソムシーケンシング
Exome Sequencing for Prenatal Diagnosis in Nonimmune Hydrops Fetalis
背景
出生前遺伝子診断へのエクソムシーケンシング(ES)の応用が期待されている。University of CaliforniaのSparksらは、原因不明非免疫性胎児水腫(NIHF)の連続127名の患者を対象として、その有用性を評価した。NIHFは、胎児の腹水・胸水・心嚢液貯留・皮下浮腫・嚢胞性リンパ管腫・後頸部浮腫またはこれらの複合で定義した。一次アウトカムは、ACMGG基準「病原性」/「病原性の可能性が高い」に分類されたバリアントのESによる検出収量である。
結論
29%の患者で、以下の疾患診断に有用なバリアントを同定した:RASopathies(RAS-MAPKシグナル伝達系異常)、先天性代謝異常・筋骨格系疾患、リンパ管疾患、神経発達障害、心血管疾患、その他。予後は、比較的軽度から周産期死亡までにわたった。診断価値のあるバリアントの68%は、常染色体優性遺伝であった。
評価
同疾患は現在のスタンダードでも25%診断可能だが、単一遺伝子疾患は同定できない。この研究は現在のスタンダードで同定できなかった残余症例だけを対象としたもので、ESの威力を確認させるものとなった。RASopathiesが30%を占めた(多くがde novo)という所見も注目される。