MGBスタッフ全員がサージカルマスクを着用するとコロナ陽性率は
Association Between Universal Masking in a Health Care System and SARS-CoV-2 Positivity Among Health Care Workers
背景
アメリカではCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策としてのマスク着用が政治問題になっている。Brigham and Women’s HospitalのBhattらは、Mass General Brigham(MGB)での医療従事者のUniversal Masking(全員サージカルマスク着用)介入前(3月1〜24日)、移行期(3月25日〜4月10日)、介入期(4月11〜30日)の3期間におけるRT-PCR検査によるSARS-CoV-2 陽性率を比較した(n=9,850)。
結論
最終的には12.9%がSARS-CoV-2陽性であった(年齢中央値39歳、女性73%、医師・研究医7.4%、看護師・フィジシャンアシスタント26.5%、技術者・看護助手17.8%、その他48.3%)。介入前に陽性率は0%から21.3%に指数的に増加し(1日当たり1.2%)、症例倍増期間は3.6日であった。介入後には陽性率は14.7%から11.5%に減少し、着用前と比較し1日当たり減少率が大きかった(0.49%)。
評価
COVID-19 でのマスク効果は、致命的に重要な問題であるにもかかわらず未だ最終的結論が出ておらず、「サージカルマスクは有効だが、普通の布マスクは他者感染リスク低減にしか有効でない」というCOPVID-19以前の常識に留まっている。布マスク着用・非着用のCOVID-19感染防止効果を検証する大規模RCTは、アメリカでさえ企画されないようである。このMGB報告は病院でのサージカルマスク有用性を担保するものだが、逆に「サージカルマスクをしていても10%も感染した」という報告とも読める。