COVID-19パンデミック下ロンドンの大病院で死産が激増
Change in the Incidence of Stillbirth and Preterm Delivery During the COVID-19 Pandemic
背景
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症(COVID-19)罹患妊婦は早産・帝王切開リスクが高いという報告があるが、流行地域での死産・早産率の変化は。英国St George’s UniversityのKhalilらは、同院におけるパンデミック直前(出生数1,681名)とパンデミック猖獗時(2020年2〜6月期、1,718名)の妊娠アウトカムを比較した(母体年齢中央値33歳)。
結論
パンデミック期は未経産婦と高血圧妊婦が少なかったが、パンデミック前より死産率が高かった(P=.01)。パンデミック期において、後期胎児異常を除外した場合でも死産率が高いままであった(P=.01)。パンデミック期間中に、19名のCOVID-19患者妊婦が入院した。他方、死産であった女性はいずれもCOVID-19の症状はなく、死後または胎盤検査でもSARS-CoV-2感染は示されなかった。SARS-CoV-2のユニバーサルテストは2020年5月28日に開始され、出生した妊娠中の女性のうち1名のみが陽性であった。2期間の間に、37週前の出産、妊娠34週後の出産、NICU収容、帝王切開の有意差はなかった。
評価
死産率が2.38/1,000件から9.31/1,000件に4倍増した、ただし患者女性ではなかった、という衝撃的な報告で、メディアにも取り上げられている。一施設の前後研究でエビデンスレベルは低く、最低限多施設でのケース・コントロール研究による確認が必要だが、重要な仮説生成的報告である。