介護施設における新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は不顕感染が過半、死亡率は癌患者並み
Presymptomatic SARS-CoV-2 Infections and Transmission in a Skilled Nursing Facility

カテゴリー
看護・母子医学
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2020
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開始ページ
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背景

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染によるCOVID-19による大量死亡が欧米介護施設から報告されている。米CDCのJerniganらは、1月20日に米最初の感染者がSnohomish Countyで同定されたワシントン州の介護施設A(116床)での感染イベントを詳細報告している。同施設では、2月29日に厳戒管理体制に入った。                                                                                  

結論

最初の感染(PCR検査陽性)者の同定は3月1日、スタッフであり、3月5日には入居者最初の陽性者を同定した。その後23日で、入居者89名中57名(64%)が陽性化した。ポイント有病率調査に参加した76名中48名(63%)が陽性で、その56%が検査時無症状であったが、陽性者の50%がその後発症した(発症までの期間中央値4日)。4月3日時点で、感染者57名中11名が入院し(3名はICU)、15名が死亡した(死亡率26%)。

評価

武漢からは介護施設での事例は報告されておらず、初めての重要報告となる。厳戒態勢でもスタッフが先に罹患したことが注目される。施設陽性化率約60%はダイヤモンド・プリンセス事例の倍以上だが、陽性者の半数が無症状であったことは市中データと似ている。しかし死亡率26%は、武漢大学病院の第一データでの癌患者の死亡率(症例数は少ないが)と同じである。

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取り上げる主なジャーナル(看護・母子医学)

Oncology Nursing Forum, International Journal of Nursing Studies