ビッグデータで示す、妊娠高血圧症の心血管リスク
Preeclampsia and Cardiovascular Disease in a Large UK Pregnancy Cohort of Linked Electronic Health Records: A CALIBER Study
背景
子癇前症を含む妊娠高血圧症が心疾患生涯リスクと関連することはよく知られているが、同時集団(contemporaneous population)における大規模調査は存在しない。アイルランドCork UniversityのMcCarthyら(CALIBER)は、英国1997〜2016年の電子カルテを使用した経産婦130万名の人口ベースのコホート研究により、妊娠高血圧・子癇前症と、慢性高血圧および12の心血管障害との関連を検討した。
結論
20年の調査期間中に18,624の心血管イベントが発生し、その65%が40歳未満の女性であった。子癇前症および妊娠高血圧症既往女性は、非既往女性と比較して、脳卒中(ハザート比1.9)・動脈硬化性心イベント(1.67)・心房細動(1.82)・末梢血管イベント(2.13)・心不全(1.73)・心房細動(2.12)・心血管因死亡(4.47)のリスクが高かった。妊娠高血圧症既往女性の心血管リスク増は、妊娠後1年という早い時期に明らかになっていた。
評価
周知の関連をビッグデータにより決定的に定量確認した。著者らは、妊娠高血圧既往女性に対する心血管スクリーニングの開始年齢を40歳以下にすることを示唆している。