老人ホームにアザラシロボ「パロ」?
How do “robopets” impact the health and well‐being of residents in care homes? A systematic review of qualitative and quantitative evidence
背景
高齢者介護施設へのペットロボットの導入は一般的で、その効果に関する研究もすでに多数行われている。英国University of ExeterのAbbottらは、ペットロボットの高齢者介護施設入居者・スタッフ・家族への影響を検討した良質19研究の系統レビュー・メタアナリシスをおこなった(定性的研究10件、混合研究2件、ランダム化試験7件)。5種類(ネコロ・JustoCat[猫]・アイボ[犬]・Cuddler [熊]・パロ[アザラシ])のペットロボットが含まれた。
結論
ペットロボットとのインタラクションは、入居者やスタッフの寂しさ、うつ、QOLなどに良い影響を与えるとポジティブに定性記述されているものが多いが、定量結果のメタアナリシスでは一般的には統計的に有意でなかった。メタアナリシスで有意だったのは、アザラシロボ「パロ」による興奮の低減効果だった(p=0.03)。
評価
著者らは、誰もがペットロボットについて前向きな経験をしたわけではないとし、動物が好きかどうか、以前ペットを飼っていたかどうか等がペットロボットとのインタラクションに影響を与える可能性が高いとしている。期待の領域だが、ロボット自体と同様に効果検証方法にもイノベーションが必要なようである。