認知障害のある急性期後高齢者はSNF滞在の利益が少ない
Relationship between Functional Improvement and Cognition in Short-Stay Nursing Home Residents
背景
退院後回復期の高齢者への施設での生活復帰支援は、認知障害の有無で機能的状態の改善の恩恵が異なるのではないか。Brown UniversityのLoomerらは、2017年1〜6月に退院後高度看護施設(SNF: Skilled Nursing Facilities)に滞在したメディケア受給高齢者を対象として、認知障害の有無とセルフケアとモビリティの変化の関連を後向分析した(n=246,395)。
結論
入所時に認知障害のある入居者は、認知障害のない入居者と比較して、機能的状態のスコアが低く、セルフケアおよびモビリティの改善が有意に少なかった。認知障害のない入居者は重度の認知障害を持つ入居者と比較して、予想以上のセルフケアおよびモビリティに関する退院スコアを示した。
評価
MedicareとCMSは、介護施設や回復期施設等で日常生活のための機能を測定する新しい方法を追加した(https://data.medicare.gov/data/nursing-home-compare)。その有用性も確認した研究で、現状では認知障害のある入居者はSNFに入る意味が少ないことを明らかにした。著者らは、認知障害のある入居者には追加支援とより高度なリハビリが必要である、と示唆しているが、資源的には難題である。