家族中心のコミュニケーション介入で小児への有害医療過誤が激減
Patient safety after implementation of a coproduced family centered communication programme: multicenter before and after intervention study
背景
小児科医療では、家族中心ケア(family-centered care)が重要で多くの研究があるが、 家族参加のチームラウンドにおけるコミュニケーションや意思決定支援の効果は。Harvard Medical SchoolのKhanらは、2014〜2017年に北米7ヶ所の小児科病棟において “family centered rounds” のコミュニケーション介入後に医療過誤・家族経験・コミュニケーションプロセスが改善するかを検討した(入院3,106件、両親/介護者2,148名、看護師435名、医学生203名、研修医586名)。一次アウトカムは、有害・無害な医療過誤である。
結論
全過誤数に差はなかったが、介入後には有害な医療過誤が半減した(12.6 vs. 5.2、P=0.003)。介入後には家族の経験およびコミュニケーションプロセスも改善し、家族および看護師のラウンドへの関与が増加した。研修医の教育およびラウンドの所要時間に大きな変化はなかった。
評価
Patient and Family Centered I-PASSによる研究である(http://www.ipassstudygroup.com/)。介入では、家族の関与、構造化されたコミュニケーション、ヘルス・リテラシーの強調、ラウンドでの医学用語を最小限に抑えるなどが強調された。経験・コミュニュケーションといったソフト指標を改善しただけでなく、有害医療過誤というハード指標を半減させたことが注目される。