脳卒中後のバイタルサイン・モニタリングを担う看護師の役割は大きい:QASC試験の二次分析
Vital sign monitoring following stroke associated with 90-day independence: a secondary analysis of the QASC cluster randomized trial
背景
急性期脳卒中ユニットの看護師による、発熱・高血糖・嚥下障害管理(FeSSプロトコル)の実践は、予後を改善すると報告されている。Australian Catholic UniversityのSandyら(QASC)は、急性期脳卒中ユニット19施設1,696名を対象とした単盲検クラスターRCTの二次分析を行い、90日時点での自立(modified Rankin Score[mRS]<1)と、FeSSプロトコルのプロセスとの関連を分析した(n=970)。
結論
90日後の自立のオッズが著しく低かったのは、入院後72時間以内の発熱イベント(OR:0.47)・平均高体温(OR:0.25)・フィンガースティック血糖検査値>11 mmol/L(0.87)・平均血糖値高値(OR:0.89)・嚥下障害スクリーニング失敗(OR:0.35)であった。自立のオッズが高かったのは、入院時または入院2時間以内の静脈血糖採取(OR:1.4)、入院後72時間以内のフィンガースティック血糖検査(OR:1.3)、24時間以内の嚥下スクリーニングまたはアセスメントの実施 (OR:1.8)であった。
評価
FeSSプロトコル実施により脳卒中(クモ膜下出血を除く)発症90日後の予後改善を示したQASC試験(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(11)61485-2)の二次分析である。脳卒中後の看護師による日常的なバイタルサインのモニタリングが死亡・要介助の低減に重要という更なる証拠を示した。プロトコル実施の障壁として、インスリンを初めて使う、高血糖プロトコルには書面オーダーがいる、嚥下スクリーニングツールASSISTを使いたくない、関心度が低い、医師がトライアルを知らない等、現場的なことが挙げられている(https://doi.org/10.1111/wvn.12078)。