看護ケアにおける優先度決定には倫理的側面がある
Ethical elements in priority setting in nursing care - a scoping review
背景
看護師は同時に複数の患者のケアを受け持ち、毎日の業務活動に優先度を考える必要があるが、ケアの優先度決定には倫理的側面があるはずである。フィンランドTurku University HospitalのSuhonenらは、この問題に関連のある論文25のスコーピングレビュー結果を報告している。
結論
看護師は、ベッドサイド・病棟ユニット・組織・社会等多様なレベルで意思決定していたが、最も心にかけているのはベッドサイドにおける優先順位づけであり、そのなかでも特に患者のケアへアクセスが上位だった。病棟レベルの優先順位上位は、ベッドの割り当てとその公平性であった。看護師の優先順位づけでの考慮事項は、患者群間の優先順、特定の疾患を有する患者、患者の重症度・年齢、およびどんな治療ケアが患者によいと感じられるか、であった。優先順位づけにはネガティブな帰結もあり、看護師の道徳的苦痛、ケア不足感、ケアの質に関する妥協であった。
評価
優先順位設定の看護ケア業務への影響についての研究はあるが、順位付けの倫理的側面に注目した研究は初めてである。著者らは、看護師たちが優先順位がつけきれず何もかもうまくやろうとして、しばしばネガティブな帰結に至る、と示唆している。