介護施設に終末期ケアプログラムを定着させるために:イギリスの取り組み
Facilitation of an end-of-life care programme into practice within UK nursing care homes: A mixed-methods study
背景
終末期ケアは介護施設入居者支援で不可欠である。英国で地域における緩和ケア介入のために普及している「ゴールドスタンダード・フレームワーク(GSF)」を、介護施設での実践に導入するにはどうすべきか。英国St. Christopher’s HospiceのKinleyらは、「介護実践におけるGSF(GSFCH)」プログラムを導入するための問題点を特定するための混合研究を行なった(38施設)。データは施設管理者・GSFCHコーディネーターを含むスタッフおよび施設に関わる外部ファシリテーターから収集し、インタビュー・調査・ファシリテーターの活動記録が含まれた。
結論
GSFCHプログラムが提供したファシリテーションアプローチは、"fitting it in(心地よくする)"、"as requested(望み通り)"、"being present(一緒にいる)" の3つであった。"being present" アプローチがプログラム完了に最も効果的で、推奨に至ったが、ただ "一緒にいる" だけでは不十分で、熟達とコミットメントが不可欠だった。プログラム実施には、全レベルで多層的学習を仲介できる外部ファシリテーターが不可欠だった。達成された費用削減度は、"being present" による実践費用増を上回っていた。
評価
GSFCHは、英国政府エンド・オブ・ライフ・ケア・ストラテジー(2008年)の支援を受けており、ケアホーム・GP・緩和ケアチームの間の協働を促進し、終末期入院を減らしてより多くの人々が施設で最期を迎えることを目指している。GSF自体は既に普及していて、患者自身が参加することが特徴である。導入障壁を、書類増・終末期ケア理解の欠如・コスト・GPの協力、とした研究がある(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3127758/)。