人は年を取ると血圧が下がる
Blood Pressure Trajectories in the 20 Years Before Death
背景
「人は年を取るほど血圧(BP)が下がる」というデータが提示された。英国University of ExeterのDelgadoらは、同国のプライマリケア・データベースを用いて、60歳以降に死亡した高齢者の死亡前20年間の血圧の変化を検討する後向コホート研究を行った(n=46,334、女性51.7%、死亡年齢82.4歳)。一次アウトカムは、臨床的に記録された収縮期血圧(SBP)・拡張期血圧(DBP)である。
結論
SBP・DBPはともに死亡18~14年前にピークに達し、その後徐々に低下した。SBPのピーク値からの平均変化は、60~69歳に死亡した高齢者で-8.5 mmHg、90歳以上で死亡した高齢者で-22.0 mmHgであった。参加者の64.0%でSBP変化は-10 mmHgを超えていた。BP低下は、死亡10~3年前にかけて直線的に進行し、最後の2年間で急激に低下した。このような傾向は高血圧薬治療に関わらなかったが、高血圧患者では年平均変化がより大きく(-1.58 mmHg vs. -0.70 mmHg)、認知症・心不全患者、晩年での体重減少者でもそうであった。
評価
非常に基礎的な結果だが、NHSシステムによる信頼度の高いデータによる初めての明示となった。著者らは他国での検討を求めるとともに、「年を取ると降圧剤は要らなくなる」という形の解釈には警戒を示している。