アルツハイマー病のHSV仮説をRCTで検証:VALAD試験
Valacyclovir Treatment of Early Symptomatic Alzheimer Disease: The VALAD Randomized Clinical Trial
背景
ヘルペスウイルス(HSV)がアルツハイマー病(AD)の発症に関与しているという仮説が注目されているが、抗帯状疱疹薬バラシクロビルの効果は。
アメリカColumbia UniversityのDevanand(VALAD)は、HSV-1またはHSV-2陽性の早期AD患者120名を対象に、バラシクロビルが認知機能の低下(一次アウトカム)を抑制し、臨床的ベネフィットを提供できるかを検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。
一次アウトカムは、78週時点におけるADAS-Cogスコアの変化であった。
結論
一次アウトカムは、バラシクロビル群で10.86、プラセボ群で6.92となり、バラシクロビル群で有意に認知機能が悪化した。アミロイドPETやタウPETの集積変化においても群間差は認められず、抗ウイルス療法による病態改善効果は確認されなかった。
評価
主に疫学データに基づいて形成された「ADのHSV感染症仮説」の、初めてのRCTによる検証だが、結果は明確に否定的だった。仮説が正しいとした場合には、検証規模・試験期間・投与時期・用量等の不適合が考えられるが、介入群でプラセボ群より一次アウトカム(認知機能)が悪化した点は、特筆すべき否定性である。この仮説の支持者にとっては、検証戦略を根本的に再考すべき事態となった。


