慢性化リスクの高い腰痛に対する臨床家支援型生物心理社会的自己(CSBS)管理の有効性は:PACBACK試験
Spinal Manipulation and Clinician-Supported Biopsychosocial Self-Management for Acute Back Pain: The PACBACK Randomized Clinical Trial
背景
腰痛(LBP)の慢性化には生物心理社会的要因が関与するが、既存治療は対症療法に偏りがちである。
アメリカUniversity of MinnesotaのBronfortらは、慢性化リスクのある急性または亜急性腰痛の成人患者1,000名を対象に、臨床家が支援する生物心理社会的自己管理(Clinician-Supported Biopsychosocial Self-management: SSM)または脊椎手技療法(SMT)の有効性を、ガイドラインに基づく標準治療と比較する2x2要因試験を行った。
一次アウトカムは、1年間の追跡調査における月毎の腰部障害(Roland-Morris Disability Questionnaire: RDQ)と週毎の疼痛強度(数値評価尺度)であった。
結論
1年間の平均でSSM群では標準治療群に対し障害度が1.2ポイント有意に改善した。障害が50%以上改善した患者の割合はSSM群で67%に達し、標準治療群の54%を有意に上回った。一方で痛みに関しては有意差がなく、SMT単独では標準治療と比較して障害・痛みの改善は認められなかった。
評価
重要な論点に関する初めての大規模RCTだが、痛みの強さに関しては4群間に有意差はなく、どの群も時間経過とともに改善した。しかし、著者らは、SSMは障害度の大幅な改善(50%以上)を達成した割合が高く、臨床的に重要であると強調している。他方、SMTにSSMに対する上乗せ効果がない点は治療選択において注目すべき知見である。専門的介入(手技+心理カウンセリング等)を最初からフルセットで提供することは、医療資源の無駄である可能性が高く、「導入はシンプルに、治りが悪い人だけに手厚く」という段階的ケア(stepped care)の妥当性を裏付ける結果である。


