太極拳 vs. 認知行動療法:中高年者の慢性不眠症に対する有効性は
Tai chi or cognitive behavioural therapy for treating insomnia in middle aged and older adults: randomised non-inferiority trial

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
BMJ
年月
November 2025
391
開始ページ
e084320

背景

中高年の慢性不眠症は心血管疾患や認知症のリスクを高めるが、標準治療である認知行動療法(CBT-I)は、専門家不足や高コストが課題である。
中国University of Hong KongのSiuらは、中高年の慢性不眠症患者200名を対象に、3ヵ月間週2回1時間の太極拳セッションとCBT-Iの有効性を比較する非劣性RCTを行った。
一次アウトカムは、3ヵ月目と15ヵ月目における不眠症重症度(Insomnia Severity Index: ISI)の自覚的変化であった。

結論

3ヵ月目のISI改善幅はCBT-I群11.19に対し太極拳群6.67と劣っていたが、15ヵ月目の追跡調査では太極拳群9.51、CBT-I群10.18となり、太極拳の非劣性が示された。
介入期間中、有害事象はなかった。

評価

太極拳が不眠に効果がある、という多くの先行研究があるが、対照を不介入や通常運動とし、またがん等の患者を対象としたもので、CBT-I介入との直接比較は初めてである。終了後も約37%の参加者が自主的に練習を継続しており、これが長期的な効果の維持・拡大に寄与している。著者らは、太極拳が炎症マーカーの低下や神経ネットワークの修飾といった独自の生理学的機序を通じて、CBT-Iとは異なる経路で持続的な改善をもたらす可能性を指摘している。CBT-Iへのアクセスが限られる現状において、自宅で継続可能かつ安全な太極拳は、公衆衛生上の有力な代替選択肢である。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy