飲料水中ヒ素への曝露を減らして慢性疾患死亡率を低減する
Arsenic Exposure Reduction and Chronic Disease Mortality
背景
飲料水中のヒ素への慢性的曝露は慢性疾患死亡率の上昇と関連づけられてきた。
アメリカNew York UniversityのWuらは、バングラデシュの成人10,977名を対象とした20年間のデータを解析する前向コホート研究により、尿中ヒ素濃度の変化ががんや心血管疾患(CVD)などによる死亡率に与える影響を調査した。
結論
2000年から2018年にかけて、尿中ヒ素の平均値は283 μg/g・クレアチニンから132 μg/g・クレアチニンに低下した。尿中ヒ素が1 IQR(197 μg/g・クレアチニン)減少するごとに、慢性疾患による死亡率が22%、がん死亡率が20%、CVD死亡率が23%低下した。尿中ヒ素濃度がベースライン中央値(199 μg/g・クレアチニン)を超えていた参加者のうち、その後中央値以下に低下した群は、一貫して高かった群に比べ、慢性疾患死亡率が46%低かった。これは、一貫して低かった群とほぼ同等のリスクで、ヒ素曝露量の低減が慢性疾患による死亡リスクの低減に大きく寄与することが示された。
評価
飲料水中のヒ素への曝露の健康リスクを、濃度低下によるリスク低下、という側面から支持した観察研究である。濃度低下が、長期曝露者でも、がん・心疾患による死亡率を最大50%削減することが、これまで最長の長期エビデンスで示された。ヒ素レベルが高レベルから低レベルに低下した参加者も、当初から低レベルだった参加者と同等のリスクになった、という知見は、途上国の政策立案者を力づける。


