低中所得国で母体感染症のインパクトを減らす:APT-Sepsisプログラム
A Multicomponent Intervention to Improve Maternal Infection Outcomes
背景
母体感染症と敗血症は、特に低中所得国において妊産婦死亡の主要原因である。
イギリスUniversity of LiverpoolのLissauerらは、マラウイとウガンダの59の医療施設(女性431,394名)で、手指衛生、感染予防・管理、敗血症の早期発見・治療(FAST-M[Fluid-Antibiotics-Source-Transfer / Triage-Monitoring]バンドル)の3目標を持つ多要素介入プログラムAPT-Sepsisの効果を、検証した(対照:通常ケア)。
一次エンドポイントは、妊娠中または最近妊娠した女性における感染関連の母体死亡、感染関連のニアミスイベント(女性が生命を脅かす合併症を乗り越えたイベント)、または重度の感染関連疾患(深部手術部位・深部会陰・体腔内の感染)の複合であった。
結論
APT-Sepsisの一次エンドポイント効果を認めた:1.4% vs. 1.9%(RR: 0.68)。この効果は主に、重度感染関連疾患の発生率低下に因っていた。
プログラムは、手指衛生・帝王切開前抗生物質予防投与・バイタルサイン記録などの基本アウトカムを改善させた。効果は両国および施設の規模にかかわらず一貫しており、持続的であった。
評価
低・中所得国での重要課題で、すでに複数のエビデンスベースガイドラインが存在しているが、実装されていない(エビデンス-プラクティス ギャップ)。これを架橋する方法論を検証した大規模クラスターRCTで、成功した。介入は既存の病院システムにわずかな追加資源で導入可能であり、実装が期待される。限界は、微生物学的データが利用できなかったこと、アウトカム評価者が介入群を知っていることによるバイアスの可能性、である。


