HDV慢性感染に中和抗体tobevibartとsiRNA薬elebsiranの併用が有望:SOLSTICE試験
A Phase 2 Trial of Tobevibart plus Elebsiran in Hepatitis D
背景
慢性D型肝炎ウイルス(HDV)感染治療には決め手がない。
フランスUniversité Paris CitéのAsselahら(SOLSTICE)は、参加者65名を対象に、HBsAgを標的化するtobevibart(モノクローナル抗体)とelebsiran(siRNA)併用療法とtobevibart単剤療法の有効性・安全性を比較する第2相試験を行った。
一次エンドポイントは、24週時点での複合奏効(HDV RNAレベルが検出限界未満、またはベースラインからHDV RNAレベルが2 log 10 IU/ml以上減少[ウイルス学的奏効]し、かつALT値が正常化することと定義)。
結論
一次エンドポイント(24週)の複合奏効が認められたのは、併用群47%、単独群70%で、ウイルス学的奏効は各100%と82%、ALT値の正常化は47%と76%で認められた。
48週目で複合奏効が認められたのは、併用群では56%、単独群61%で、検出限界以下HDV RNAは各66%と48%、ALT値は各56%と61%で正常化し、HBsAgは10 IU/ml未満が各91%と21%であった。
両群で、ALT値の急上昇は認められず、48週目までに、併用群の81%と、単独群の94%に、主にインフルエンザ様疾患と悪寒などの有害事象が少なくとも1件認められた。
評価
Vir Biotechnologyの創薬で、中和抗体とsiRNAの併用、というHBVで先行している戦略をHDVで試みたものである。24週一次エンドポイント達成率で単剤療法に及ばなかったものの、48週でのウイルス消失率では併用療法が上回る、というやや複雑な結果を提示した。本試験のHDV RNA陰性化率66%は、既存承認薬bulevirtideの試験結果(12%)を上回り、また91%で HBsAgレベルが10 IU/ml未満に低下している。結果は「有望」とみなされるもので、現在第3相試験が進行中である。


