パラチフスA菌に新規ワクチン登場:VASP試験
Safety, Efficacy, and Immunogenicity of a Salmonella Paratyphi A Vaccine

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2025
393
開始ページ
1704

背景

Salmonella Paratyphi AによるパラチフスA熱に対する、新規パラチフスA菌ワクチン(CVD 1902: 注射型Vi-rEPAコンジュゲートワクチン)の安全性・有効性は。
イギリスChurchill HospitalのMcCannら(VASP)は、英国の健常成人72名をCVD 1902接種(14日間隔で2回)群と、プラセボ群に割り付け、2回目の接種後28日に野生型パラチフスA菌の経口チャレンジを行う第2b相RCTを実施した。
一次エンドポイントは、チャレンジ後14日以内のパラチフスA菌感染の診断であった。

結論

CVD1902の一次エンドポイント効果を認めた[CVD 1902群21% vs. プラセボ群75%(ワクチン有効率73%)]。CVD 1902はパラチフスA菌のO抗原に対する血清IgG・IgA抗体応答を誘導したが、プラセボ群では抗体価の上昇はみられなかった。
有害事象の発生件数に群間差はなく、ワクチン起因の重篤事象はなかった。

評価

現在有効なワクチンのないパラチフスA熱に対する新規ワクチンの効果を、厳密なヒトチャレンジモデル(controlled human infection model: CHIM)で検証した重要試験である。認可済みチフスワクチン3種の有効率(35〜54.6%)と比較して高い有効性を示して、この問題に関する画期となった。FDA・EMAは第3相後に承認決定するともみられるが、WHOはCHIMエビデンスに基づき途上国で使用承認する方向を目指している。なお、製造者(Janssen)は、チフス菌も標的とする二価ワクチンの開発を進めている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell