変性半月板損傷の痛みの理学療法による改善はプラセボ効果:TeMPO試験
A Randomized Trial of Physical Therapy for Meniscal Tear and Knee Pain

カテゴリー
整形外科・理学療法、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2025
393
開始ページ
1694

背景

変性半月板損傷による膝痛に対し理学療法(PT)が推奨されているが、エビデンスは薄弱である。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのKatzらは、変性半月板損傷と変形性膝関節症(OA)を伴う膝痛患者879名を対象に、(1)自宅運動(HEP)のみ;(2)HEPに運動励行テキストメッセージを追加;(3)(2)にシャムPTを追加;(4)(2)に標準PTを追加、の4介入の効果を検証するRCTを行った。
一次エンドポイントは、KOOSの疼痛サブスコアのベースラインから3ヵ月後までの変化であった。

結論

全4介入の間に、一次エンドポイントの有意差は認められなかった。

評価

この問題は長く、すでに多くのRCTにより、手術に対しPTが非劣性、というコンセンサスが得られている。しかし、シャムPTを含む4群比較という堅牢なデザインで実施されたこのTeMPOは、PT自体がHEPと変わらない、という結果を出した。これは、変性半月板損傷の痛みのPTによる改善が、プラセボ効果であることを示唆する。費用対効果からはPTは推奨されない、ということになるが、さらに根本的な、「自宅で何も特別なことをしない」(無措置)と「HEPのみ」を比較する堅牢なRCTの実施も望まれる。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy