変性半月板損傷の痛みの理学療法による改善はプラセボ効果:TeMPO試験
A Randomized Trial of Physical Therapy for Meniscal Tear and Knee Pain
背景
変性半月板損傷による膝痛に対し理学療法(PT)が推奨されているが、エビデンスは薄弱である。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのKatzらは、変性半月板損傷と変形性膝関節症(OA)を伴う膝痛患者879名を対象に、(1)自宅運動(HEP)のみ;(2)HEPに運動励行テキストメッセージを追加;(3)(2)にシャムPTを追加;(4)(2)に標準PTを追加、の4介入の効果を検証するRCTを行った。
一次エンドポイントは、KOOSの疼痛サブスコアのベースラインから3ヵ月後までの変化であった。
結論
全4介入の間に、一次エンドポイントの有意差は認められなかった。
評価
この問題は長く、すでに多くのRCTにより、手術に対しPTが非劣性、というコンセンサスが得られている。しかし、シャムPTを含む4群比較という堅牢なデザインで実施されたこのTeMPOは、PT自体がHEPと変わらない、という結果を出した。これは、変性半月板損傷の痛みのPTによる改善が、プラセボ効果であることを示唆する。費用対効果からはPTは推奨されない、ということになるが、さらに根本的な、「自宅で何も特別なことをしない」(無措置)と「HEPのみ」を比較する堅牢なRCTの実施も望まれる。

