サハラ以南アフリカにおける乳児へのアジスロマイシン集団投与は無益:LAKANA試験
Mass Administration of Azithromycin to Infants in Mali to Reduce Mortality
背景
サハラ以南アフリカにおいて、幼児へのアジスロマイシン集団投与が死亡率低下を導く、という仮説がある。
フィンランドTampere UniversityのAshornら(LAKANA)は、マリの1,151村落における生後1〜11ヵ月の乳児149,090名を対象に、これを検証するRCTを行った(対照:プラセボ)。
一次アウトカムは、3ヵ月以内の死亡である。
結論
アジスロマイシン年2回または年4回を行ったが、いずれの投与頻度においても、プラセボと比較して一次アウトカムの有意差は確認されなかった。
評価
先行研究を根拠にしたWHOの2020暫定ガイドラインを確定すべく行われた大規模クラスターRCTだが、失敗した。WHOのガイドラインは乳児に限定した投与だが、無益、ということになる。他方、AVENIR・CHAT・NAITREによる、アジスロマイシン集団投与による死亡率低減効果が、対象を生後1〜59ヵ月という広い年齢層に適用した場合に認められる、という見方は維持される。WHOが対象を限定したのは薬剤耐性菌発生のリスクを抑えるためであり、今回の結果は、難しい公衆衛生上のトレードオフをもたらした。

