ADA-SCIDへのレンチウイルスベクター遺伝子治療の長期有効性・安全性を確認
Long-Term Safety and Efficacy of Gene Therapy for Adenosine Deaminase Deficiency
背景
アデノシンデアミナーゼ欠損による重症複合免疫不全症(ADA-SCID)への、レンチウイルスベクターを用いた自家造血幹細胞遺伝子治療の第2相試験は、2012〜2019年に行われた。
>イギリスZayed Centre for ResearchのBoothらは、同患者62名を対象とした、中央値7.5年の長期追跡結果を報告している。
一次エンドポイントは、全生存と無イベント生存であった。
結論
全生存率は100%、無イベント生存率は95%と高い持続的有効性が示された。6ヵ月時点で遺伝子標識による生着が確認された59名のうち58名(98%)がIgG補充療法を中止し、白血病増殖性イベントやクローン性増殖は認められなかった。
評価
同試験の3年結果報告(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027675)を後続する長期結果報告である。従来のレトロウイルス遺伝子治療で懸念された白血病発生が本治療では 皆無で、優良な安全性プロファイルが示された点が特に重要である。また、GVHDや高用量化学療法の晩期合併症のリスクを回避できた点も注目に値する。ADA-SCID遺伝子治療に関しては、すでにEMAがStrimvelisを承認しており、FDAもアメリカ発のこの「OTL-101」(Orchard Therapeutics)を承認する可能性が高い。

