ADA-SCIDへのレンチウイルスベクター遺伝子治療の長期有効性・安全性を確認
Long-Term Safety and Efficacy of Gene Therapy for Adenosine Deaminase Deficiency

カテゴリー
Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
October 2025
393
開始ページ
1486

背景

アデノシンデアミナーゼ欠損による重症複合免疫不全症(ADA-SCID)への、レンチウイルスベクターを用いた自家造血幹細胞遺伝子治療の第2相試験は、2012〜2019年に行われた。
>イギリスZayed Centre for ResearchのBoothらは、同患者62名を対象とした、中央値7.5年の長期追跡結果を報告している。
一次エンドポイントは、全生存と無イベント生存であった。

結論

全生存率は100%、無イベント生存率は95%と高い持続的有効性が示された。6ヵ月時点で遺伝子標識による生着が確認された59名のうち58名(98%)がIgG補充療法を中止し、白血病増殖性イベントやクローン性増殖は認められなかった。

評価

同試験の3年結果報告https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2027675を後続する長期結果報告である。従来のレトロウイルス遺伝子治療で懸念された白血病発生が本治療では 皆無で、優良な安全性プロファイルが示された点が特に重要である。また、GVHDや高用量化学療法の晩期合併症のリスクを回避できた点も注目に値する。ADA-SCID遺伝子治療に関しては、すでにEMAがStrimvelisを承認しており、FDAもアメリカ発のこの「OTL-101」(Orchard Therapeutics)を承認する可能性が高い。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(Top Journal)

The New England Journal of Medicine(NEJM)、The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Nature、Nature Medicine、Science、Science Translational Medicine、Cell