「一般疾患」の1〜3%は希少疾患の誤診か過小診断
Common Diseases in Clinical Cohorts−Not Always What They Seem
背景
一般疾患(Common Disease)という診断が、希少疾患の誤診や過小診断につながるリスクは、どの程度か。
アメリカAbbVieのSmaouiらは、UK Biobankの参加者、1件の臨床研究および一次診断が多発性硬化症(MS)・炎症性腸疾患(IBD)・アトピー性皮膚炎(AD)であった患者を対象とした臨床試験の、エクソームシーケンシングデータ・ゲノムシーケンシングデータを用いて、これら一般疾患の症状と似た症状を発症することの多い単一遺伝子性希少疾患の発生率を解析した。
結論
参加者の約1〜3%に、症状が重複する単一遺伝子性希少疾患の診断に寄与する稀少バリアントが存在した(MS: 2.86%, IBD: 1.12%, AD: 2.50%)。これら稀少バリアントを持つ患者の一部は、一般疾患として誤診されているか、あるいは一般疾患に希少疾患が合併していても診断されていない状態(過小診断)である。
評価
AbbVieの資金提供による研究で、大規模データと先進技法を結合させて、高インパクトの結論「一般疾患の1〜3%は希少疾患の誤診か過小診断」を導いた。特に、一般疾患と診断された患者が治療抵抗性であった場合に誤診・過小診断である可能性が、大きな実践帰結で、例えば、臨床試験にディープフェノタイピングを組み込んで個別化医療の実現につなげる、といった方策が示唆される。

