ACL断裂後手術不要論に新データ:KANON試験二次解析
Association Between ACL Continuity on Magnetic Resonance Imaging at 5 Years After an Acute ACL Rupture and 11-Year Outcomes: A Secondary Analysis From the KANON Trial

カテゴリー
整形外科・理学療法
ジャーナル名
The American Journal of Sports Medicine
年月
July 2025
53
開始ページ
1893

背景

前十字靭帯(ACL)断裂が手術なしで治癒する可能性が注目されている。
オーストラリアUniversity of MelbourneのFilbayらは、急性ACL断裂の活動的成人105名を対象としたKANON試験の二次解析により、ACL線維の連続性(治癒の兆候)がACL断裂後5年のMRIで確認された場合の11年後の長期的アウトカム(臨床転帰・放射線学的変形性関節症[ROA])を検討した。

結論

5年時点のMRIでACL線維の連続性が確認された患者は、早期または遅延ACL再建術(ACLR)を受けた患者と比較して、11年後の患者報告アウトカム(KOOS4スコア)が不良であった(調整平均差 −15.5および−20.2)。ROAの兆候は手術群と比較して同等か少なかった。

評価

KANONは、ACL断裂では即時ACLRは不要である、という高インパクト結果を出した。この二次解析は、ACL治癒(連続性)が必ずしも長期的良好転帰を保証しない、という逆説的な結果を出したもので、2年結果ではACL連続群がACLR群より良好なアウトカムを示していたため、「長期的にはやはりACLRが有益ではないか」という反駁仮説を可能にした。ただし、本解析は非手術管理群内の少人数のサブグループ(非手術群 n=14)に基づいているため、結論は堅固でない。ACL断裂への即時ACLRの問題自体には未だ最終結論はない、ということになる。

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取り上げる主なジャーナル(整形外科・理学療法)

Physical Therapy